レースは全部で6クラス
「地上の」モータースポーツはマシンの構成やエンジン形式の違いなどによって様々なクラスに分けられていますが、それはエアレースでも同じです。現在のリノ・エアレースは6クラスに分けられており、それぞれに異なる魅力をアピールしています。
最も人気を集めているのが、レシプロエンジンによるプロペラ機であればどんな改造も無制限というアンリミテッドクラス。P-51マスタングなど第二次大戦中の戦闘機からの改造機が中心のこのクラスは、時にレシプロ機としては極限に近い時速800kmものスピードで競われます。まさに史上最速のモータースポーツです。また、ジェット練習機などで競われるジェットクラスも最近はスピードアップしてきており、こちらも時速800km近いスピードでデッドヒートが繰り広げられています。
そんな中でトニー比嘉が参戦しているのは小型複葉機によるバイプレーンクラス。全長5mほどとコンパクトで、一見クラシカルにも感じられるこのバイプレーンクラスの機体たちは、しかし高度な操縦技術をパイロットに要求します。時に4000馬力近くにもなるアンリミテッドクラスの機体に較べ、バイプレーンクラスのエンジンは200馬力前後。この限られた馬力を確実に活かして、機体が本来持つ性能を完全に引き出せないと、超低空の狭いコース内で最大速度を維持することはできません。レースはただ真っ直ぐに飛ぶのではなく、最大速度で飛びながらライバルたちと競い、タイトなターンを繰り返します。そのためには、全身のあらゆる感覚を総動員して機体の姿勢と空気の流れを感じ、機体と一体化するように操縦しなければならないのです。ちなみにバイプレーンクラスのコースは全6クラス中最も短い1周約5km。飛行機にとって決して広いとは言えないこの空間で、限られた性能を活かしてスピードを競うとなると当然のようにレースは接近戦になります。ライバルとの機体間隔は時にはわずか数mになることがありますが、これも全クラス中随一の近さ。機体とコースを知り尽くしたパイロットの高い操縦技術に加え、パイロット同士の信頼関係も重要な非常にチャレンジングなクラスがこのバイプレーンクラスなのです。